薪ストーブFAQ(薪ストーブ しりたいこと しらなかったこと)

初めて薪ストーブの購入を考えるとき、最も気になるのは「暖かさ」ではないでしょうか。「本当に暖かい?」というこの疑問に対する答えは「YES!」です。薪ストーブは本当にとても暖かく、そして心地よいのです。
薪ストーブは「輻射」と「対流」によってお部屋を暖める暖房器具です。
「輻射」とは、薪を燃やした時に発生した熱エネルギーが赤外線となって放出されること。赤外線には、人だけでなく、床や壁、天井などにも吸収されてその熱が留まるという性質があるため、火が消えたあともお部屋に柔らかい暖かさが残ります。
また、薪ストーブの周りでは暖まった空気が上昇し、冷たい空気が流れ込んで空気が「対流」し、家全体を暖めます。エアコンやファンヒーターは暖かい空気をファンで強制的に「対流」させる暖房器具です。
それに対し、薪ストーブは「輻射」と「対流」の相乗効果で、心地よい暖かさを感じることができるのです。
薪ストーブの暖かさを知るには、実際に薪ストーブを体験するのがよいでしょう。
薪ストーブのショールームではデモンストレーションが行われているので、ぜひ足を運んでみてください。
そして、薪ストーブの前に座ったり、ショールームを歩き回りながら、体だけでなく心にまでじんわりと染みわたるような暖かさを実感してください。

薪ストーブはエアコンやファンヒーターのように、スイッチ一つでON OFFができる機能はありません。ですから着火するときも、ご自身で薪を重ねて火を付けることになります。火のコントロールは、薪を投入する量を調整するほか、薪ストーブ内に取り込まれる空気の量を調整することによって行いますが、ブランドや機種によってもその方法にはかなりの違いがあります。例えば、着火のときや薪を追加するときなどにご自身で空気を調整するものもあれば、あらかじめリモコンで好みの温度を設定しておけば、着火してからの空気の調整は全く必要のないものもあります。
また、薪ストーブにはすぐに「消火」できる機能がありません。火を消したい時は、薪を新たに入れるのはやめ、空気調整レバーを絞って炉内を酸欠状態にして消火します。消火には時間がかかるので、「火が消えないから、外出できない!」と思うかもしれませんが、買い物など短時間の外出の場合は、わざわざ火を消す必要はないでしょう。
火の扱いが上手くできるようになるにはモデルごとの取扱方法を理解することが大切です。毎日行っていれば、少しずつでも最適な空気調整や薪補給のコツが掴めるでしょう。少し時間がかかるかもしれませんが、それもまた薪ストーブの楽しみの一つといえます。

薪ストーブの火は簡単に消えません。それでは地震が起きた時、どうしたらよいのでしょうか?
液体燃料を使用する灯油ストーブやファンヒーターは、転倒して火が燃え移るために火災が起こるので、地震のときはすぐに火を消しましょうと指導されます。けれども、薪ストーブは煙突にもつながっているため、少しずれることはあってもそう簡単に転倒することはありません。ですから、地震が発生したときは、まずはご自身の安全を確保して、揺れが収まってから火が消えるように空気を調整するレバーを閉めます。このとき火はすぐには消えませんが、とにかく落ち着いて、火が自然に消えていくのを待ちましょう。慌てて水をかけると急激な温度変化で鋳物が割れる危険性もあります。
薪ストーブ自体が倒れなくても、周りの家具が倒れることもあるため、家具の置き場には十分な注意が必要です。また、薪ストーブの設置には、消防法や建築基準法などの設置基準があります。地震のときでも安全を確保するには、信頼できる専門業者にこれらの規定をしっかりと守った設計と設置をしてもらうことが大切です。そうすれば、薪ストーブは灯油ストーブよりもずっと安全ですし、毎日安心して使用することができます。

薪ストーブを設置するときに必要なのが煙突です。薪ストーブの場合、煙突の役割は、煙を屋外に出すだけではありません。煙突は煙突内部の空気が暖まることで「ドラフト(上昇気流)」を発生させます。その吸引力を用いて、薪ストーブ本体に空気を取り入れ、薪を燃やすという重要な役割を果たしています。環境性能の認証を受けた薪ストーブは排気中に含まれる煙などの微粒子まで燃やしてしまうことができる仕組み(二次燃焼)になっているので、正しく使えばもくもくとした煙が出ることはなく、透明な気体が出るだけです。ではどんなときに黒く、臭い煙が出てしまうのでしょうか?一番多いのは不完全燃焼です。不完全燃焼は薪が乾いていない、必要以上に空気を絞ってしまっているなどが原因で起こります。これらの問題はしっかりとマニュアルを読むことで、ご自身で防ぐことができます。けれども一番怖いのは、煙突が正しく設置されていない場合です。煙突はさまざまな規定や条件に従って取り付けなくてはいけません。少しのゆがみや狂いでも、空気の流れが変わり、煙や煙突のトラブルが起こるので、煙突は必ず専門の施工会社に設置してもらいましょう。とはいっても、うっかり不完全燃焼が起きてしまうこともあるでしょう。そのときはすぐにトラブルにならないように日ごろから自宅の煙突から出る排気を確認することも大切です。

薪ストーブを長くそして安全に使うためには、毎日のお手入れは欠かせません。毎日行う主なお手入れは、ガラスを含むドア回りの掃除と炉の中の灰の始末です。ドア回りの掃除では、ドアの密閉性を保つために灰や燃えカスを取り除きます。また、ガラスは掃除をせずにいると灰がガラス化して曇ってしまうので、専用スプレーで拭くと良いでしょう。毎日煤で黒くなる場合は不完全燃焼の可能性もあるので、燃焼状態の確認が必要です。炉の中の灰は、少し残した方がよいモデルときれいに取り除いてから点火した方がよいモデルがあるので、それぞれに合った掃除を行います。
シーズンが終わったら、本体の点検や煙突掃除といったフルメンテナンスも必要です。本体の点検では、傷みをチェックして必要な部分の補修・交換をします。また、煙突掃除では、掃除用ブラシを煙突の上から差し込んで付着している木タールやススを落としますが、自分で行うのはなかなか難しいものです。これまでの使い方やお手入れが正しかったかどうか、チェックしてもらう機会として、年に一度専門の業者にお願いするとよいでしょう。
冬の間、休む間もなく働いてくれた薪ストーブ。お疲れ様の意味を込めて、しっかりと汚れを取り除き、不具合のあるところは修理をして、次のシーズンに備えておきたいですね。

薪を手に入れるには自分で作る方法と買う方法があります。
自分で作る場合は、伐採木を手に入れ、原木を切って薪を作り、半年~1年ほど乾燥させます。地域にある木なら運搬費もかからず、手に入りやすいのが魅力です。樹種は、使用するときに乾燥していれば、広葉樹でも針葉樹でも問題はありません。質量あたりの熱量は同じですし、針葉樹には火が付きやすい、温度が上がりやすいなどのメリットもあります。「薪は広葉樹」という情報もありますがそれは全くの間違い。気にせずに手に入るものを使用すればよいでしょう。
一方、薪を買う場合は、薪ストーブを買ったお店で購入することをおすすめします。それは、不完全燃焼を起こさないように、各薪ストーブにあったサイズ、乾燥度の薪を用意してくれるからです。購入するにはコストがかかりますが、薪はすぐに使用できとても便利です。また、しっかり乾燥しているので安心して使うことができます。
薪の調達で大切なのは無理をしないこと。余裕があれば作る、なければ買うくらいの考えでいることが、薪ストーブライフを無理なく送れるコツです。ただ、いずれの場合も準備は早めに。冬になってから慌てないように、オフシーズンに準備をしておきましょう。

薪ストーブの燃料となる薪。ランニングコストはどれくらいかかるのでしょうか。薪は電気や石油のようになじみのあるものではないので、どうしても不安になってしまいます。

例えば、灯油と比較した場合、発熱量(MJ)のみで考えると、

1MJあたり2.77円(*1束あたり302円税込み)
灯油1MJあたり1.98円(2017年7月時点の灯油価格86.2円/ℓより算出)

*a+グループdld本社の薪価格より算出

という計算になります。コストだけ見ると薪の方が高いですが、薪ストーブとファンヒーターでは暖かさを感じさせる仕組みが異なり、同じ発熱量でも体感的には薪ストーブの方が暖かく感じます。そのため、灯油と同等または少し高いくらいとイメージすればよいでしょう。

もちろん薪を無料で手に入れられれば、ランニングコストは0円になります。薪を作るためのチェーンソーや斧といった薪割り道具を揃えても長い目で見ると元はしっかりとることはできるでしょう。あと必要なのは労力ですが、薪は「自分で作れる最も簡単なエネルギー」です。そう考えると大変さも楽しみに変わるのではないでしょうか。

ただ、すべてを無料の薪でまかなうのは簡単なことではありません。薪作りと購入を上手に組み合わせて、無理なくコストダウンしたいですね。

薪ストーブのストーブトップは、スープやシチューなど、じっくりことこと煮込む料理を作るのに適しています。燃えている薪ストーブの熱を利用するので、光熱費を気にせずに長時間火にかけておけるのもうれしいですね。また、トリベット(鋳物の鍋敷き)を使用すれば、火加減の調整も簡単です。
燃焼室(炉内)ではオーブンのような加熱料理ができます。クッキングスタンド(五徳)を置き、鋳物鍋やフライパン、グリルパンなどを使えば、手軽に作れるピザから、本格的なローストチキンまで、ありとあらゆる料理を作ることができます。
薪ストーブにはいろいろな種類がありますが、料理を作りたいと考えているのなら、ストーブトップに熱が伝わりやすく、炉が大きなモデルを選びましょう。また、料理を楽しむために作られた「クッキングストーブ」もおすすめです。これは、燃焼室と別にオーブンやグリルが設けられているので、暖かさを持続しながら、オーブン料理が作れる魅力的な薪ストーブです。火加減も安定するので、ローストビーフやパンなど、難しい料理にも挑戦できます。柔らかな暖かさで心と体を包んでくれる薪ストーブ。そこからいい香りが立ち上り、熱々の料理が出てきたら……。これ以上の幸せはありません。

夏場は40度近い気温になったり、ゲリラ豪雨が起こったりと、最近は地球温暖化を感じることが多くなりました。二酸化炭素は地球温暖化の原因の一つといわれ、現在世界中で二酸化炭素削減が取り組まれています。けれども、物を燃やせば二酸化炭素が出てしまうもの。そのため、薪ストーブも環境によくないと考える方がいますがそれは大きな間違いです。
そもそも薪は木を伐採して作られます。そして木は十分な大きさになるまで空気中の二酸化炭素を吸収し育ちます。吸収した二酸化炭素は、燃やした時に再び空気中に排出されますが、さらにその二酸化炭素を吸って木が育つというサイクルができあがっており、結果的に地球上の二酸化炭素の量は変わることはありません(カーボンニュートラル)。また、木は伐ってもまた芽吹いて、半永久的に再生を繰り返すことができる、とても貴重な資源です。一方、石炭や石油、ガスなどの化石燃料は燃やせば大量の二酸化炭素を発生し、地球温暖化を引き起こします。また、一度使ってしまったら再生することはできません。
このように、薪を使用する薪ストーブはとても環境にやさしい暖房器具だといえます。地球上に暮らす私たちが自然環境について考えることは当たり前のこと。急速に進む温暖化を防ぐためにも、化石燃料への依存を減らし、積極的に自然エネルギーを使いたいですね。

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