薪ストーブの後付け(リフォーム)

薪ストーブを設置する前とした後では、同じ家に暮らしていても生活が大きく変化します。既存の家で薪ストーブを安全に使用するためには、熱から床や壁を守るための工事のほか、壁などを取り払うようなリフォーム、家具の配置の変更などが必要な場合があり、家の中の動線も大きく変わるからです。つまり、薪ストーブを入れることによって、これまでとは違った全く新しい生活がスタートすることになります。薪ストーブの後付けで失敗しないためには、薪ストーブをする前に、専門家にプランニングしてもらい、しっかりと暮らしのイメージをしておくことが大切です。そうすることで安全かつ快適な薪ストーブライフを実現することができます。

安全性を考えたリフォームプランに

薪ストーブを設置しようと計画している家はいつ建てられたものでしょうか。日本の家屋は、昭和25年に制定された「建築基準法」の規定を満たしたものとなっていますが、これまでの間に、何度となく改正されその度に厳しくなったているため、建てられた年によって、耐震基準や防火構造などが異なります。そのため、家がどのような建築基準で建てられたかを確認する必要があります。そして、もし現在の建築基準で満たされていない部分がある場合は、補強や改修を行いましょう。そうるすことで安全に薪ストーブが使用できるだけでなく、薪ストーブをより効率よく使用することができるようになります。

<間取りの変更>

薪ストーブを配置する場所の考え方は基本的に新築のお宅と同じです。屋根の高いところに煙突を立てることができる配置が理想ですが、すでに間取りが決まっている家では、なかなか理想的な場所に設置できないこともあるでしょう。また、薪ストーブからはかなり強い熱が出るため、薪ストーブを置く部屋はある程度の広さがなくては危険です。日本の場合、昭和以降に建てられた家は、狭い部屋がいくつもあるのが特長ですが、まずは、安全性を第一に考えて、耐震性能が損なわない程度に壁を取り除くなど、空間にゆとりをもたせるための間取りの変更がおすすめです。

<床の補強>

まずはリフォーム会社に基礎の確認をしてもらいましょう。そして基礎の強度が薪ストーブを設置するのに十分でない場合には、床の補強が必要です。

薪ストーブは150kgほどの重さがあります。そして炉台にレンガを使用した場合、1つ3~3.5kgのレンガを約200個使用することになり、炉台だけでも600~700㎏の重さなります。つまり合計約750~850㎏の重さに耐えられる床でないと、とても危険です。

現在の基礎は鉄筋コンクリートと「建築基準法」で決められていますが、鉄筋コンクリートの基礎が施工され始めたのは昭和55年ごろでした。そして、鉄筋コンクリートの基礎が法制化されたのは平成12年と随分最近のことなのです。それまでは、無筋の基礎でもよかったため、基礎が弱いものが多いと考えられています。

安定した床は安全に薪ストーブを使用するために欠かせないものです。必ず、基礎の確認をして、強度が足りなければ床の補強を行います。

<断熱の改修>

「旧省エネ基準」により、断熱材の使用が義務付けられたのは昭和55年のことで、それ以前に建てられた家の多くは断熱材が入っていません。またその後平成4年にも「新省エネ基準」に改正され、さらに、平成11年の「次世代省エネ基準」により、現在の断熱材の基本ができあがりました。そのため、平成11年より前に建てられた家の断熱は十分ではありません。薪ストーブを効率よく使用するために、断熱はとても大切なものです。リフォーム前には、家の断熱の状態を確認して、断熱材が十分でない場合は改修を行いましょう。

後付けするときの薪ストーブの選び方

薪ストーブを後付けする場合、まずは「床に直接座る」「椅子に座る」のどちらで生活しているかを考えます。そして「床に直接座る」場合は、足元もしっかり暖める背の低めの薪ストーブを選ぶとよいでしょう。一方「椅子に座る」場合は、背の高い薪ストーブが体の芯までしっかりと暖めてくれます。また、薪ストーブは揺らめく炎を眺めるのも楽しみの一つです。炎が見やすい高さであることも、長く生活していく上では大切なことです。

また、後付けの場合は、スペースに制限があったり、床の補強など大掛かりなリフォームが必要だったりと、想像以上に費用が掛かる場合があります。そんなときに、選択肢の一つとして考えたいのが、建物の負担になりにくい薪ストーブです。薪ストーブには必ず遮熱壁が必要だと思っている方も多いですが、中には、フィンランドの薪ストーブブランドHWAMのように遮熱壁や炉台が必要ないものもあります。そういった薪ストーブは少し本体価格が高いですが、遮熱壁や炉台、そして床の補強のリフォームの費用を含めて比較すれば、かなり費用を抑えることができます。

古民家に薪ストーブを入れる場合

最近は古民家をリノベーションして暮らすという方々も増えています。古民家とは、日本の伝統的な工法で建てられた民家のことで、築年数はだいたい50年以上のものをいいます。大黒柱と太い梁など、古民家ならではの特長があり、現代の家とは違った深い味わいがありますが、古民家に薪ストーブを入れる場合は、設置工事のほかに、大々的なリフォームが必要です。そもそも古民家は、家の中に囲炉裏があり、家の中で火を燃やしていたため、発生した煙は立ち上って屋根から空気が抜けていく構造になっています。ですから、天井部分をふさいで断熱材を入れるなど、暖かい空気が逃げない工夫をする必要があります。また、床の補強や床面の断熱をしっかりしておくことも大切です。

古民家で薪ストーブを設置するときにおすすめしたい場所が、囲炉裏があった場所です。多くの古民家では、囲炉裏は建物の中央部分に配置されていました。そのため、煙突も高いところから出すことが可能になります。また、囲炉裏の枠は石を積み上げ、火を焚く部分は土をしっかりと固めて補強されているため、床の補強をしなくてもそのまま使用できる場合もあります。また、床面がしっかりしているので土間に置いてもよいでしょう。

DIYで薪ストーブを設置するときの注意点

インターネットのホームページなどでは、DIYで薪ストーブが設置できるような記事が数多く掲載されているため、ご自身で設置したいと考えている方もいるのではないでしょうか。けれども、当社では、DIYでの薪ストーブの設置はおすすめしていません。たしかにご自身で設置することはできますが、それが安全かどうか、正しく使えるかどうかはまた別の話だからです。

ただ、どうしても設置したいという場合は、設置の仕方をしっかりと教えてくれる店で薪ストーブや煙突の部材を購入し、必ず教えてもらった通りに設置してください。煙突などもホームセンターで買って、自己流で付けるのだけは危険なので絶対にやめましょう。また、設置する前に、「建築基準法」や関係法令、そして一般的な薪ストーブ会社が定めている基準のほか、欧米の設置基準を参考とした基準をしっかりと勉強してください。すべてを理解すれば、必ず薪ストーブの設置はプロに任せなくてはいけないことがきっとわかるはずです。

薪ストーブの設置はプロに任せたとしても、何かで薪ストーブ設置費用を削減したい、DIYが趣味でどうしても自分で何か作りたいという方には、遮熱壁・不燃床、薪棚といった薪ストーブを使用する上で必要なもののDIYがおすすめです。

<遮熱壁・不燃床>

遮熱壁や不燃床は、材料が比較的手に入りやすいためDIYにぴったりです。自由に表現できるため、ご家族にとって思い入れのあるものになり、記念にもなるでしょう。作る際の注意点は遮熱壁・不燃床のいずれも寸法はストーブのプロショップに従うこと。遮熱壁は倒壊しない構造とし、必要な遮熱性能は薪ストーブによって異なるので、事前にしっかり調べて確実に遮熱できるようにします。不燃床はデコボコだとストーブがグラつくため、平滑に仕上げます。

<薪棚>

薪棚は、複雑な作業が少ないので、初心者にもおすすめのDIYです。薪棚は薪を乾燥させるための棚なので、設置場所はできるだけ日当たりのよい場所を選びましょう。また、薪を乾燥させるのに最も大切なのは風通しです。可能ならば、両面の風通しを確保できるように一列の薪棚にし、一列が長い場合は途中に区切り(仕切り)を入れます。また、薪を積み上げた時の重量を考えて、地盤と基礎はしっかりと。さらに、湿気対策と防虫のために地面から棚床までの距離は20cm程度離し、屋根を付けて雨や雪を防ぎます。

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